タナゴとは
          20年ぐらい前はその辺の小川や池などに多く見られた淡水魚です。二枚貝に産卵する性質をもつ魚で、
          オスの婚姻色が美しく、観賞用としても人気のある川魚です。
      日本には十数種類のタナゴ類が生息していますが、近年、護岸工事や生活廃水などの環境破壊だけでなく、
          ブラックバスやブルーギルなどの外来肉食魚の移入増殖が大きな打撃となり、
          姿を見ることも少なくなりました。
      国や県のレッドリストで希少種となっています。
   霞ヶ浦周辺に生息するタナゴたち
タイリクバラタナゴ   Rhodeus ocellatus ocellatus   コイ科タナゴ亜科バラタナゴ属

タナゴと言ってすぐに思い浮かべられるのは、このタナゴであることが多いのではないでしょうか。観賞魚売場で「タナゴ」として売られているのは、ほとんどこのタナゴです。
 本種は名前に「タイリク」の名が入っているとおり、中国からの帰化種です。この種は在来種である「ニッポンバラタナゴ」との亜種であるためこれとの交雑が進み、(純血である)ニッポンバラタナゴが絶滅危惧の状態となっています。
 本種は水の汚染に比較的強いためか、霞ヶ浦・北浦では舟溜や土手下の農業用水路など色々な場所で釣ることが出来ます。また、他県のタナゴ釣り場でも本種がもっともポピュラーな種となっています。
 関東地方の釣り人の間では「オカメタナゴ」と呼ばれています。

アカヒレタビラ Acheilognathus tabira subsp.R コイ科タナゴ亜科タナゴ属

北浦の舟溜でタナゴを釣る際、メインとなるタナゴです。
太平洋側では利根川以北、日本海側では島根県以北に生息しています。タビラの仲間は日本では本種の他にシロヒレタビラ、セボシタビラの3種が生息しており、共通の特徴として肩部に青緑色の斑紋があります。
 本種の雄の婚姻色は背ビレとしりビレ端が赤く染まり、腹ビレ前縁が白くなり、名前の由来となっています。
 本種を釣る場合、あまり用水路に入ってこないためか舟溜を狙うと時期により良く釣ることが出来ます。また、ワカサギ釣りのため舟溜内の沖目の底近くを釣っていると良型のものが釣れてきます。
 関東地方の釣り人の間では本種と下記に挙げる「タナゴ」「ヤリタナゴ」を併せて「真タナゴ」と呼んでいます。

タナゴ Acheilognathus melanogaster コイ科タナゴ亜科タナゴ属

アカヒレタビラに混じって釣れてくることが多いタナゴです。関東地方以北の太平洋側に生息しています。本種にもタビラ類と同じく肩部に青緑色の斑紋がありますが、タビラ3種は明瞭な斑紋であるに対し、色が薄いあまりはっきりとしていない斑紋となっています。また、体高がタナゴ10数種の中で一番低いのが特徴です。
 本種の雄の婚姻色は比較的地味で、ヒレ、体ともに全体的に黒っぽくなり、胸ビレ付近が薄いピンク、しりビレの先端は白色に変化します。また、吻の追星はかなり明瞭に出てきます。
 霞ヶ浦水系でも生息場所が偏っているせいか、本種を狙って釣る場合は、場所を選んで釣る必要があります。(舟溜まり・本湖が釣れる場所です。)
ヤリタナゴ Tanakia lanceolata コイ科タナゴ亜科アブラボテ属

舟溜よりも流入河川で釣れるタナゴです。
北海道及び九州南部を除く全土に生息しています。婚姻色はアカヒレタビラに似ていますが、それよりもかなり派手目になります。(背ビレ、しりビレ端が赤〜ピンクになり、腹部は黒色、胸付近はピンクに染まります。)
 霞ヶ浦水系では本湖よりも流入河川に多いせいか、河川改修の影響を受けて以前は釣れたポイントも釣れなくなったという事例が多くなっています。

カネヒラ Acheilognathus rhombeus コイ科タナゴ亜科タナゴ属

本来は琵琶湖以西の本州及び北九州に分布するタナゴです。霞ヶ浦でもごく一部の地域で釣れますが、琵琶湖からの淡水真珠貝の移入による物と考えられています。
タナゴ類の中では一番大きくなる種で、婚姻色もピンクと青緑の鮮やかなものでタナゴ類飼育家の中でも人気の高い種です。
 本種を釣るのは、夏期に流入河川に遡上してきた所を釣りますが、生息数も少ないためなかなか釣れないようです。